次のような質問を頂きました。

『いつも参考にさせてもらっています。初めての投稿ですがよろしくお願いします。
社会人ビッグバンドに所属していますが、アドリブの練習を始めました。
バンドの人に教えてもらうこともありますが、あまりしつこく聞くのも気が引け
るので、ネット等での問い合わせも何度かやってみました。

今、練習で困っているのは、ロストです。一度ロストするとどこをやっているの
か分からなくなってしまいます。
今までのアドバイスとして、A、バックの音を良く聞きながらということですが、
何をどう聴いたらよいのか、かえって迷ってしまいます。正直、初歩段階でこん
なことが出来るのかな? といった疑問もあります。
また、B、最初は、バックの音を聞くといっても難しいので拍を数えながら、2
小説・4小節の感じを体感出来るようにする、というアドバイスもありました。
結局、今やっているのは、メロディー譜を見ながら、そのキーに合ったペンタス
ケールを使ってアドリブ風(デタラメ?)に吹いています。

練習を振り返ってみると、メトロノームを使ってテンポに注意しながら、Bの拍
を数えながらに近い練習です。この練習で、最近は12小節くらいは、何とかいけ
ますが、長くなるとやはりロストすることが多いです。また、フレーズの最初が
1拍目になってしまうのでもっと自由にと、思って吹くとすぐにロストしてしま
います。

長くなってしまい申し訳ありませんが、練習方法の改善点を含めてのロスト対策
を素人向けに具体的にアドバイスいただけたらありがたいです。』

いつものように井上さんに解説して頂きました。


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ロストの原因は、楽器に慣れていないため、
楽器をコントロールすることにエネルギーのほとんどを使うため、
アドリブフレーズを考えたり周りの音を聞いたりすることが出来なくなるからです。

そしてアドリブのフレーズの引き出しが少なければ、すぐにネタが無くなってしまい、
何を吹いて良いのか分からなくなってしまいます。

後ろではリズム隊がどんどん伴奏を弾いてくれているので、
無理矢理でもアドリブをしないと格好が付かない状態となり、
フレーズを創り出そうと必死に努力しますが、

楽器を上手く操縦できない状態で、
私たちが日本語を無意識で話すように思いついた音を
すぐに音に出来るようなレベルがなければ、
結局思いついた音も吹けないという状態となり、
無理矢理ペンタトニックを使ってアドリブを編み出しても、
ペンタトニックの音を使ったフレーズ(引き出し)を
最低でも5つぐらいは知っていないとなかなか良いフレーズは現れません。

その結果「自分には才能が無い」とか「アドリブは自分には向いていない」
という方がいますが、
まだ楽器に慣れていない、アドリブのフレーズの引き出しも少ない状態で、
まだ自分の才能が無いとか思うのはまだ早いです。

解決方法としては、

「楽器に慣れる」

ことと

「アドリブのフレーズ(引き出し)を多く習得する」

ことが必要です。

しかし、この2つを習得するには時間と労力が必要です。
1年や2年そこらでは出来ません。
毎日2時間練習している方で最低3~5年かかっています。
しかも耳コピーをバンバンされている方です。

この問題は本当に自分のレベルが上がらないと解決しない問題です。
ですから、この問題は時間がかかります。

ベテランの先輩が「日本人がジャズを演奏出来るようになるには10年かかる」
と言われていましたが、今ではよく分かる言葉です。
ですから、3年や5年そこらではまだまだ半人前だと思い、頑張るべきです。

「楽器に慣れる」には、たくさん練習すべきです。
「アドリブのフレーズ(引き出し)を多く習得する」には、
耳コピーするのが一番です。

他にもフレーズ集という名の教則本がありますので、
それも参考になるでしょう。

しかし知識を取り入れるためにフレーズ集を見て納得するのは良いとしても、
結局実践では耳コピーのほうが5倍ぐらい吸収が良いと思いますので、
出来るだけ耳コピーをするように努力してみましょう。

最初から全部音を取るのは相当難しいので、
気に入ったフレーズがあれば少しずつ耳コピーしてみましょう。
耳コピーに慣れれば、もっと楽にフレーズが取れるようになります。


ここで1つだけヒントを出したいと思います。
アドリブをするときに、難しいアドリブフレーズを吹こうと思わず、
自分が思う「難しくないて吹きやすい、シンプルでかっこいいフレーズ」
を3つ用意して、それだけを吹く、ということです。
そして聞いている人がワクワクして踊り出したくなるように吹く、ということです。

それが吹けるようになったら、
あなたは黒人さんのフィーリングが少し理解出来るようになっているでしょう。

ぜひ試行錯誤して頑張ってください。