次のような質問を頂きました。

『テナーサックスを3年間吹いている高校生です。

さっそくですが質問させていただきます。

自分の悩みは「自分の音が聞き手にどのような音色で
聞こえているのか分からない」ということです。

楽器を吹いている本人と聞き手ではやはり音色は
変わって聞こえるので、自分はよく壁に向かって吹いたり、
録音したり、音が響きにくい車の中や屋外で吹いたりしているのですが、
どの音が一番聞き手が聞こえている音色に近いのでしょうか?

自分には目標としている音があるのですが、
自分の音はこもりがちで楽器が鳴りきっていない感じがします
しかしそれは録音したものを聞いた時や、車の中で吹いた時だけで、
壁に向かって吹きながら聞いた時が一番理想としている音色に近いのです。

いったいどの音を聞きながら練習するのが、
自分の音を客観的に聞いた時に近いのでしょうか?
よろしくお願いします。』

いつものように井上さんに解説して頂きました。


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「自分の音が聞き手にどのような音色で聞こえているのか分からない」

これは私もずっと悩んでいますし、どうも長年のテーマになりそうです。

またサックスはほとんどの場合、前に飛ぶ音と、
後ろに聞こえる音(吹き手が聞く音)では随分と違いがあります。
前に飛ぶ音はバリっとしており、
後ろはボーンとこもっていることがほとんどです。

観客のことを考えると、前に飛ぶ音を重視することになりますので、
後ろに聞こえる音がこもり、吹いていて気持ちよくはありません。
よって奏者にとって気持ちよい演奏は出来なくなるでしょう。

逆に後ろに聞こえてくる音を良い音にしてしまうと、
前から聞こえる音はバリバリした音になりやすく、
聞いている人に目標の音を届けることは出来なくなります。

私もこれに7年ほど悩み、
どれだけ考えて実践しても答えが出ませんでしたので、
結局気にしないことにしました。

もちろんある程度は好みの音にしますが、
細かいところは気にしないようにしました。
それよりも「自信を持って、気持ちよく吹けるか」
という所に重点を置くようにしました。

黒人さんで、音はバリバリ鳴りすぎて良くないけど、
どことなくフィーリングが良いなと感じて
「この人の演奏は好きだな」と思うことがあります。
つまり「音が悪い」けど「この人の演奏は好き」ということになります。

この矛盾してそうな感覚、どこかで感じたことがありませんか?
私はここに解決点を見いだし、多少音が悪くても
「私が気持ちよく吹けるセッティング」にすることを心がけました。

そして自分が吹いていて気持ちよい感覚が伝わると信じ、
今でも吹いています。

今でも音にはこだわっています。
しかし自分が自信が無く気持ちよく吹けなければ、
それが聞いている人に伝わってしまいます。
自分が自信を持って気持ちよく吹ければ、
それが音に乗って相手の心に伝わります。
気持ちよく吹ける今では、評判が良いのです。
気持ち吹けない時は見事に反応が芳しくありません。

結論は「7割程度好みの音にしたら、
あとは気持ちよく吹けるセッティングにする」です。

参考にされてください。